時代の一歩先へ
愛され続けるヘアサロン。
離職者数の増加が嘆かれる美容業界。その中で、およそ140名ものスタッフを擁し、県内に8店舗を構えるヘアサロン「ル クール」。お客さまから愛され続ける秘訣は何か。なぜここまで多店舗展開に成功できたのか。普段は聞けない経営の裏側に迫る。
長岡市【ル クール】
地域性に合わせ、サロンのテーマを変える。
新たな技術を取り入れながら、一人一人の髪質やライフスタイルに合わせたスタイル提案でリピーターを増やし続けている「ル クール」。2002年の創業から17年。県内6つのエリアに趣向を凝らした店舗を展開する。
全8店のサロンはそれぞれ異なるテーマを持つ。地域性やターゲット層をリサーチし、一時ではなく長く愛用してもらうための工夫が施されているのだ。例えば、ラグジュアリーな内装と個室空間が自慢の店舗があれば、明るく開放的で子ども連れでも安心のキッズスペースを完備した店舗もある。自宅近くの店舗を愛用するのはもちろん、少し足を延ばして他の店舗にも行ってみたくなりそうだ。
宮内店(長岡市)には、家族や友人同士で一緒にカットを受けられるグループブース(個室)に加え、キッズルームも完備されている。
外からの光が差し込む開放的で明るい店内。アークガレリア店(長岡市)
おトクに美しくなれる、充実のサービス。
「数多くのサロンの中から選ばれる秘密は、顧客へ向けたサービスにもある。「ル クール」では、1回2,200円でカラーリタッチができる「カラーチケット」システムを10年ほど前から導入。ホームカラーとほぼ変わらない価格でプロの技術と新しいヘアカラーを楽しめると好評だ。そのほか、メンバー価格や60歳以上なら男女問わず適用されるシニア割引を設け、2回目以降も通いやすい仕組みが充実している。
快適な空間でおトクにキレイになれる。この“気軽さ”が、幅広い年代の女性たちに支持される理由のようだ。
初回の施術料がおトクになるサロンが多い中、「ル クール」では2回目以降も割安になる価格設定が充実。金額や時間を気にせず、また行きたくなる仕組みがここにある。
キッズルーム、託児スタッフ完備でスタッフも笑顔に。
こだわりの一つであるキッズスペースは、小さな子どもを持つお客さまのためにスタートした取り組みだが、子育てと仕事を両立する女性スタッフにとっても大きな役割りを果たしていた。
託児スタッフが常駐している柏崎店、保育士がいる東三条店には、子育て中の女性が多く働いている。産休·育休後の復帰が難しいと言われる美容業界だが、職場に子どもを預けられるシステムを作り、女性の復職に貢献しているのだ。
宮内店で働くスタイリストの吉田香利さんも、子育てをしながら仕事に励むママスタッフの一人。「子どもが小さい時は就業時間や休暇の調整をしてもらい助かりました」と、笑顔で教えてくれた。
「産後もスタイリストとして働くことができてとても嬉しいです。今はまだ現状維持が目標ですが、もう少し子育てが落ち着いたら、もっとたくさんお店に立てるようにしたいです」
子どもが夏休みの時期には優先してシフトを組んでいただけるので、本当に助かります」と宮内店スタイリストの吉田さん。多くのママが現場で活躍している。
心地よく過ごせる秘訣は、レセプショニストの接遇にあった。
「ル クール」で働くスタッフにはスタイリストやアシスタントをはじめ、カラーリストにネイリスト、アイデザイナーなど、各分野のスペシャリストが在籍している。入店時に出会える“レセプショニスト”は、受付業務から店舗管理などを行うオールラウンダー。13年間レセプショニストとして活躍する大橋恵美さんは、正に接遇のプロだ。
「美容師免許を持っているわけでも、美容学校を卒業したわけでもない私がこの業界で働けるなんて思ってもいませんでした。お客さまに寄り添い、またご来店いただけるようにアフターケアを行う大切な仕事です。来店からお帰りまで、お客さまの変化に気付けるよう毎日心掛けています」。データ入力やスタイリストのスケジュール管理、毎月の売上げ報告や店内に設置されるPOP制作まで手掛けるというのだから驚きだ。
「スタイリストの負担を軽減するのも私たちの役目。ただフロントに立つだけでなく、会社に貢献できるやりがいのある仕事です」
「何よりもお客さまが第一。気持ちよく過ごしていただけるよう、相手の話をしっかり聞き、自分の考えを押し付けないようにしています」とレセプショニストの大橋さん。
自分に合ったワークライフバランスを構築できる。
お客さまが心地よく過ごせる空間づくりにこだわるのはもちろん、スタッフ同士が気持ちよく働ける環境づくりにも力を入れる代表の山際武彦さん。東京·横浜の有名サロンで経験を積んだ後、26歳という若さで地元·長岡市に「ル クール」をオープンした。
「社員の働き方には常に注目しています。それぞれのモチベーションを高めるため、密に面談を行ったり、若手の育成に力を入れたり。スタッフ同士の親睦を深める機会もつくるように心掛けています」。1月には全社員での新年会を開催。創業当時から続けてきた恒例イベントだ。
「昔のままではいけない、と常々感じています。スタッフ一人一人の家庭環境や目的を反映した“オーダーメードの働き方”ができるのはうちの強み。若手も年長者も辞めない仕組みを実践しています」
「サロンの技術力が高いのは当たり前の時代。スタッフのコミュニケーション力、対応力が求められています」と話す代表取締役の山際さん。
性別も年齢も関係ない。大きな目標を持って働こう。
この16年で大きく成長した「ル クール」だが、これから進もうとしているレールの先にはまだまだ多くの目標があるようだ。「今後は新潟市郊外や上越市にもオープンを検討しています。そのためには、スタッフをもっと増やさなければいけないし、店長の育成も強化しなければいけない。売上げ10億円を達成するためにも、さらなるエリア拡大が求められていると感じています」
スタイリストの中には「いつか自分のサロンを持ちたい」と熱い志を持つスタッフもいる。その夢を実現するため、山際さんはフランチャイズ(FC)制度を始動。資金や設備などをバックアップし、開業の手助けを担う。
「一緒に働くスタッフには成功して欲しいし、いつまでも美容業界で活躍して欲しい。現在、FCオーナーとして活躍するスタッフは3名います。その内1名は女性。性別や年齢、既婚も独身も関係ありません。理想の働き方を一緒に実現していきましょう」
現在、正社員·パート問わず美容師を募集中。時間や休暇を調整しながら、自分らしく働こう。
DATA
有限会社 ル・クール
940-0853 長岡市中沢3-355-6 2F